みなさんは「地域猫」を知っていますか?地域猫とは去勢・避妊手術を受け、一代限りの命を全うできるように地域のボランティアさん達に管理された猫のことです。
地域猫の耳にはVの形の切れ込みが入っています。そしてその形から「さくら耳」と呼ばれており、これが地域猫の証となっています。
今回の記事では、その地域猫を管理するボランティアさん達の活動と地域猫と人間の共存について焦点をあてていきたいと思います。
地域猫活動、なぜ必要?
猫たちに去勢、避妊という手術を受けさせるこの活動は、なぜ今の世の中に必要なのでしょうか。
その理由は、「不幸な猫達を増やさないため」です。保健所に持ち込まれる、いわゆる「殺処分」対象の猫は、そのほとんどが子猫という現状があります。生まれたばかりの命がすぐに人間の手によって失われてしまっているのです。そのようなことにならないためにも、これ以上の繁殖を防ぐための去勢、避妊手術をして猫が増えないようにする必要があるのです。
また地域の環境問題を守るため、という理由もあげられます。手術を行っていない猫達はどんどん増え、餌を探すためにゴミを荒らしたり、家の庭で糞をしたり、発情期には大声で鳴いたりします。これらの問題はその地域に住む人たちにとっては、迷惑なものです。だからこそ安心して餌を食べられてトイレもできる場所を猫たちに用意するといった地域猫ボランティアの活動が、地域の人への迷惑被害を減らすことにもつながります。
地域猫ボランティア、その知られざる活動
地域猫ボランティア活動の仕事は主に4つのステップがあります。
まずは「猫を捕まえる」です。人間に捨てられ、そこから強い繁殖力とともに増えていく猫達。地域猫活動はその猫達を捕まえることから始まります。捕まえる方法として主に「捕獲器」というものを使います。細長いゲージのようなもので、奥に餌を置き、猫がその餌を食べようとしたら扉が閉まる、というものです。稀にとても人に慣れている猫がおり、そういう子達はそのまま抱っこして捕まえることもあります。猫によってさまざまです。
次に、「去勢・避妊手術を行う」です。捕まえた猫達を動物病院へ連れて行きます。市から発行されている手術無料チケット(登録団体だけがもらえる)が使える動物病院で、手術を受けさせます。今は、去勢・避妊手術専門の「スペイクリニック」という動物病院もあるほどです。。手術はオスが約20〜25分、メスが約1時間かかります。
そして「猫を元いた場所に帰す」です。手術をした後は元いた場所に帰します。
最後は「餌やり」です。手術を受けた猫達はもう地域猫の仲間入りです。一代限りの命を全うできるようにしっかりと管理します。
このような地域猫活動のことを「TNR活動」といいます。「捕まえる…Trap」「手術する…Neuter」「かえす…Return」それぞれの頭文字を取ったものです。
これらが主な地域猫ボランティアの活動内容です。その他にも糞尿の掃除、地域住民への理解など仕事がたくさんあります。
↑捕獲イメージ画像。実際はこんな穏やかな顔をしていません。
猫と人間が共存できる社会へ
昔は野良猫=殺処分という認識が根付いていました。しかし今日では、耳カットのある猫は殺処分対象にはなりません。猫は守られる存在となったのです。
とはいえTNR活動は生半可な気持ちでできるものではありません。辛いことや苦しいことも多々あります。
そもそも猫が増えるのは猫のせいではなく、捨てる人間達のせいです。だからこそ私たち人間にできるのは、捨てさせない状況をつくること。そして猫たちもこの世の中で安心して生きていける場所を作ることではないでしょうか?
一代限りの地域猫。その命をあたたかく見守りましょう。
(執筆:10月期TCPライティングコース|高1・ねこゆいさん)